その折も折、知人の医師から、ヤフーを検索すれば、平井憲夫という原発の配管技能士として長年働いていた人が生前の1996年に書き残した文章が見られると聞いて、早速開けてみました。それは「原発がどんなものか知ってほしい」と題するものですが、そこには信じ難いような驚くべき事実が体験談の形で淡々と語られています。以下はその趣旨のいくつかです。
1.「安全」は机上の話 原発は地震に安全というのは「机上の空論」で、その原因は机上の設計ばかりに重点をおいて、現場の施行、管理を怠ってきたためである。危険な職場で働く作業員だけでなく、定期検査や運転を許可する検査官さえ専門家でない素人である。
2.素人が作る原発 原発には放射能の被爆という問題があるので、後継者を育てることができない職場である。10年くらい前から、現場に職人がいなくなり、全くの素人を経験不問という形で募集している。防護服も、放射能から体を守るものではなく、放射線の量を測るアラームメーターによって、放射能を外に持ち出さないための単なる作業着である。
3.放射線垂れ流しの海 官庁の定期検査が終わると、海に放射能を含んだ水が何十トンも流されてしまう。日本の海が放射能で汚染されてしまっている。その放射能は、職場の内外を含めて蓄積されて行く。
4.「絶対安全」の洗脳教育 今も約9万人の人が原発で働いているが、作業員に対して、国の基準に従えば絶対に安全という放射線管理教育が行われ、外部に対しても、原発の必要性と「原発安全」の宣伝が行われている。(続)