原子力安全・保安院は、3月11日の事故直後には暫定評価で「レベル4」の程度にあるとし、福島原発事故はチェルノブイリ原発事故とスリーマイル島原発事故の中間にあるとしていたのですが、18日にはスリーマイル島に匹敵する「レベル5」に引上げたのです。しかし、その段階で、「レベル5」に引上げた理由が明らかとはいえません。
それが今度は、4月12日になって、「レベル7」に引上げられ、福島原発事故がチェルノブイリ原発事故と同じ最悪の「レベル7」と暫定評価されることになったというのです。新聞の解説では、「レベル7」の判定基準が数万テラベクレル以上の放射能の外部放出であるのに、福島第1の放出量は37万~63万テラベクレルに達していると推定されたからであるといわれ、これでもチェルノブイリの1割程度であるといわれるのです。
私の素朴な疑問は、福島原発の放射能排出量がチェルノブイリの1割と言われながら、それが「レベル7」の判定基準の10倍近くの量にも達していることが全く言及されていないという点です。その上に、福島原発の放射能漏れはまだ続いていて、どこまで広がるのか予測もつかないという点にこそ重大な問題があります。
原子力安全・保安院は、現状の調査の正確なフォローとともに、今後の見通し(最大限と最小限の幅を含む)についても、速やかに情報を開示すべき責任があります。