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最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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国家公務員と地方公務員との差別


 公務員の政治活動の制限については、国家公務員の場合には、国家公務員法102条1項とその委任を受けた人事院規則14-7で、20項目に近い禁止規定があり、その違反に対しては、3年以下の懲役または10万円以下の罰金が科されますが、地方公務員の場合には、地方公務員法36条で数項目の禁止規定があるだけで、規則への委任もなく、懲戒処分に付されるだけで、刑罰は一切科されないことになっています。
 なぜ、公務員の政治的行為に対して、国家公務員と地方公務員との間に、このような著しい相違が生じたのでしょうか。それは、国家公務員法も、制定当初(昭22)には、規則への委任も罰則の規定もなかったのですが、翌年の昭和23年の改正で変更になったためであり、しかもそれは、当時の占領部軍総司令部の圧力の下に異常な状態で改正されたという歴史的な経緯があるのです。
 昭和25年の地方公務員法では、元に復したわけですから、国家公務員法も当然改正されるべきものが、そのまま現在まで、半世紀もの間、残されたままになっています。
 しかし、地方公務員が懲戒処分でとどまるものを、国家公務員だから刑罰を科すという合理的な理由があるとは思われません。国家公務員は、犯罪人として訴追されるのです。
 その上に、教育公務員特例法によって、小、中、高の教員は、身分は地方公務員であるにもかかわらず、国家公務員なみに人事院規則14-7の規定が適用され、刑罰が科されるという2重の差別が導入されていることにも注意しなければなりません。
 差別のおおもとを見極めてこれを正す知恵と力量をいまの国会に期待できるでしょうか。
by nakayama_kenichi | 2005-03-06 23:07