裁判員法と冤罪の防止
2008年 09月 23日
9月23日の朝日新聞によりますと、明白な冤罪事件であることが判明した「志布志事件」(鹿児島の選挙違反事件)では、判決は「客観的証拠はなく、自白は県警の強圧的誘導によるもの」として全員を無罪にしたのですが、それに加えて、取調べの際に、警部補が被告人に対して、親族の名前を書いた紙を踏まされる「踏み字」を強要したことが「特別公務員暴行陵虐罪」に当たるとした有罪判決も確定したことが報じられています。
私が注目しましたのは、被害を受けた元被告人が、取材に対して、「裁判が終わり、ほっとしました。取調べを全面的に可視化していれば、警部補も踏み字などさせなかったはずです」と話したという部分です。ところが、警察庁は、「取調べ適正化方針」を作成するというのみで、取調べの「全面的な可視化」をかたくなに拒否し続けています。
そして、このような状況は、裁判員裁判が始まっても、変わる保障はなく、代用監獄における密室での取調べがそのまま続くことになります。裁判員が公判に参加するだけでは、現状を追認する「お飾り」に終わる可能性が高く、むしろ裁判員法が冤罪の防止に役立つためには、現在の刑事裁判の実態を国民の目から見直し、変えていくことが必要です。取調べ過程の「全面的な可視化」(録音・録画)はその一つで、それは韓国を含む国際的な常識なのです。
裁判員法は、「司法の民主化」(市民による司法のコントロール)を目指すべきだと思います。

