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最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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インドの見識

 今は、テレビも新聞も、北京オリンピック一色で、連日の猛暑のような過熱状態にあります。私も、時々はテレビを見ますが、個人の技を競うというよりも、国別のスポーツナショナリズムの雰囲気が、戦前から変わっていないように思われてなりません。オリンピックには参加することに意義があり、スポーツによる国際的な友好を深めるという本来の趣旨よりも、記録とメダルの数を競い合う大国間の熾烈な競争の場に化しているのが現実の姿で、選手は、国威発揚のチャンピオンとしての役割を担わされているといってもよい状態にあります。
 その中にあって、インドがその流れに抗するかのような独自の道を歩んでいるという記事が注目を惹きました。新聞(朝日2008年8月13日)によりますと、中国の隣国である大国インドは、グローバル経済では主役級に躍り出たものの、オリンピックの舞台ではなんとも影がうすく、今回も、インドは金が一個のみにとどまっています。
 そして、この点について、在中国インド大使館の幹部は、「わが国には選手を商品に、スポーツをビジネスとする米国式資本主義もないし、他方では中国のように優秀選手を武器とし、国威発揚を目指す社会主義の発想もない」と語ったとのことです。
 しかし一方、中国側からみますと、「インドのスポーツ振興関係予算は中国の8分の1以下であり、プロ化が遅れて優秀な成績を上げても収入に結びつかないので、競技選手を目指す青少年はなかなか生れないだろう」ともいわれているのです。
 私自身は、インドの見識を評価したいところですが、オリンピックはどうあるべきなのか、果して日本はどうすべきなのか、考えさせられる問題です。
by nakayama_kenichi | 2008-08-20 18:07