白地刑法について
2005年 03月 03日
「白地刑法」とは、犯罪の構成要件が空白で、その内容が政令などに委任されているものをいい、刑法94条の「中立命令違反」罪がその例としてあげられるのが通常です。
それは、「罪刑法定主義」の原則の例外とされていますが、この規定は現在はほとんど適用の可能性がない状況です。しかし、現在、白地刑法として生きているものに、国家公務員法102条1項の「公務員の政治活動の制限」規定と、それを受けた人事院規則14-7が、17項目にも及ぶ禁止規定を設け、それに3年以下の懲役または10万円以下の罰金が科されいる例があります。
この規定は、かつて猿払事件(北海道の郵便局員が選挙ポスターを掲示したケース)で争われ、1・2審が無罪としたものを最高裁が破棄して有罪となった事例に適用されましたが、その後長く適用されませんでした。ところが、最近、東京で社会保険庁の職員が勤務外の休日に選挙ビラを住宅の郵便受けに配った行為が起訴され、現在1審が進行中です(堀越事件)。
私は、今、弁護側から依頼されて「意見書」を執筆中ですが、その中で気のついたことを、何回かに分けて本欄に書いて見たいと思いますので、よろしく。