アインシュタインと社会主義
2008年 07月 20日
しかし、そのアインシュタインも、1949年の著書の中で、社会主義を支持すると同時に、その末尾で次のような懸念を表明していたという点にも注目する必要があるでしょう。
「それにもかかわらず、計画経済はまだ社会主義ではないことを想起する必要があります。計画経済そのものは、個人の完全な奴隷化を随伴します。社会主義の達成は、次のような極度に困難な社会政治的諸問題の解決を要求しているのです。つまり政治的・経済的な力が広範囲にわたって中央集権化している場合に、官僚が傲慢にも権力をほしいままにすることを防止するには、どうすればいいのか? また個人の諸権利をどうして保護し、それとともに官僚の権力に対する民主的対抗力を、どうして確保できるか、という問題です」。
さすがに鋭い洞察力のある指摘であり、実際にソ連はこの課題を解決できずに崩壊しました。
なお、ラッセル自身は、1920年にソ連を訪問して、レーニンや他の指導者達と長時間話し合った末に、彼らのもくろんでいることが自由な世界観の人のだれもがもつ願望とはまったく反対であるという結論に到達したと述べていながらも、他方では、世界の偉人として、「一にアインシュタイン、二にレーニン、あとはいない」といっていたという逸話も残っているようです。

