医療観察法の入院施設の不足
2008年 06月 21日
そして、これまで約3年間の裁判所の決定では、当初の予想に反して、通院や不処分の割合が比較的多いとはいうものの、入院決定はすでに500件近くあり、その後の退院数を差引いても、入院者数は約400人に達しているといわれています。
ところが、最近、この指定入院施設が不足状態に陥り、今後の運営が困難な状態にあることが厚労省によって認められていることが判明しました。6月13日の共同通信によりますと、国が当初整備目標としていた720床のうち、今年4月時点で完成しているのは15ヶ所の計387床にとどまるのに対して、各地の入院患者は今年3月末時点で399人に達し、面談室などを病室に改修した「転用病床」を合わせても数人分が不足するというのです。
厚労省は、遅まきながら推進本部を発足させて施設整備を推進するといっていますが、施設が不足状態に陥ることは制度を開始した当初から、当然に予測された事態であって、国の側の無責任な対応の結果であるといわざるを得ません。
しかも、問題は入院施設の不足にとどまらず、何よりも、退院後の社会復帰の受け皿がきわめて乏しいところに基本的な問題があります。一般の精神医療(精神保健福祉法)との連携とその全面的な底上げこそが課題であるというべきでしょう。

