EU統合と人権保障
2008年 04月 19日
シンポジウムでは、EU(欧州連合)の加盟国が6カ国から27カ国に増え、EC(欧州評議会)が47カ国にまで広がった現在に至るまでの「欧州統合」の歴史と現状が、経済問題から次第に平和と民主主義、とくに人権保障を主題とする方向に動きつつあるという観点から、欧州人権裁判所の活動や刑法および刑事手続における人権保障をめぐる問題が提起され、大いに啓発されました。とくに、各国の制度の相違や大陸法とコモンローとの相違を調節して行く上でデリケートな問題があることが分かりましたが、人権保障の観点から欧州を統合するという方向性は、日本を含むアジアの将来を考えるに当たって、実に先見的なモデルに値することを痛感した次第です。
個人的には、エーザー教授ご夫妻との再会を果したことも、嬉しい成果でした。古い日記によりますと、私が最後にドイツのフライブルグでエーザー教授にお会いしたのは、1985年(昭和60年)12月7日ですので、もう20年以上経過しています。その日は、エーザー教授が私をホテルから自宅まで案内された後、郊外のレストランで夕食の招待を受けました。奥様が大の日本びいきで、片言の日本語を話されたと記しています。ご夫妻がかつて来日されたときは、私どもが嵐山にお連れしたことも覚えておられました。
なお、ドイツ語が苦手な私も、当時は研究所で日本の刑法について講演し(ただし英語で)、671DMの講演料をもらったという記述もあります。