立川ビラ配り事件最高裁判決
2008年 04月 13日
住居侵入罪の成否に関する精密な批判的分析が必要なことはいうまでもありませんが、ここでは、新聞の論調が明らかに批判的であることに注目する必要があります。忘れてしまわないように、4月12日の朝日新聞の社説の一節を引用しておきます。
「ビラが配られたのは、自衛隊のイラク派遣をめぐって世論が割れ、様々な論議が起きていたころだ。自衛官やその家族が派遣反対のビラをドアの新聞受けから入れられて動揺したり、いやな思いをしたりしたというのは、その通りかもしれない。知らない人が勝手に敷地に入ってくれば、不安になるのも無理はない。・・・しかし、だからといって、いきなり逮捕し、2ヶ月余りも勾留したあげくに刑事罰を科さなければならないほど悪質なことなのだろうか。度を超した捜査や起訴をそのまま追認した最高裁には、失望してしまった。
気がかりなのは、今回の最高裁判決で、ビラ配りなどがますますやりにくくなり、ひいては様々な考えを伝える手だてが狭まっていくのではないか、ということだ。これでは社会が縮みこまってしまう。・・・だれもが自由に語り、自分の意思を自由に伝えることが出来てこそ、民主主義的な社会といえる。そこでは、自分とは異なる意見や価値観を認め合い、耳を傾けることも求められている。そんな寛容さや度量を社会として大切にして行きたい」。
さらに、この最高裁判決がビラ配りにまで刑事罰まで科したことは、われわれの社会常識とずれているのではないかという指摘もなされています(北海道新聞)。