相田みつを『にんげんだもの』
2008年 02月 06日
それが、相田みつを氏の著書『にんげんだもの』(1984年文化出版局)からの抜粋であることを遅まきながら知って、さっそく、これに『雨の日には雨の中を 風の日には風の中を』(1993年文化出版局)を加えて、2冊を注文し入手しました。大きな字の本なのですぐに読めるのですが、それぞれに深い味わいがあり、何度読んでも、飽きないのが不思議なくらいです。
著者の略歴を見ましたら、旧制中学を卒業後、曹洞宗高福寺の禅僧・武井哲応師と出逢い、在家のまま師事し仏法を学んだと記されています(1923年出生、1991年没、67歳)。にんげんのにんげんらしさを、自然な目で、しかし奥深く洞察する力の源は、仏法に由来するように思われるのですが、しかし所詮仏にはなれない現世の「にんげん」の煩悩を率直に認めた上で、それでも生きることの意味と努力の必要性を感じさせる暖かい著者の気持ちが身近に伝わってくるような親近感がにじみ出ています。
さしずめ、私にとっては、縁起12章の「おかげさま人生」の中で、「後輩のおかげで先輩になれる 威張ることはないんです」、「読んでくれる人のおかげで書かせていただく このヘタな文章も」といったところが、的を射た言葉として心に残りました。

