「文楽」の鑑賞
2008年 01月 27日
大阪の日本橋にある「国立文楽劇場」は、昭和59年(1984年)に出来た劇場であり、国立劇場としては、東京と沖縄を含む3箇所しかなく、しかも大阪がその発祥地であると聞きました。全く初めての経験なので、目に映るものがすべて珍しく、何も予備知識がないままに公演が始まりました。
一個の人形に3人の遣い手がつくのですが、鑑賞の邪魔になるとして、人間は「黒衣」を着て隠れています。しかし、主要な役柄の遣い手は素顔を見せて、人形と一体となって操るところがはっきり出ているのには驚きました。それが、決して鑑賞の邪魔にならず、かえってあたかも人形が生きているかのような不思議な一体感をかもし出しているのです。
舞台の右側面には、義太夫節の語り手(「大夫」)の席があり、この大夫の変幻自在の語り口が横にいる三味線などの楽器と見事に調和しているだけでなく、その語り口と楽器の調べが、正面の舞台の主人公である「人形」の一挙手一投足にぴったりと対応しながら一つのハーモニーを現出していることを、感動をもって実感することができました。
さすがに歴史と伝統のある芸術作品で、見ごたえがあっただけでなく、公演が終わった後にも深い味わいのある余韻を残していました。
当日の出し物は、第1が「七福神宝の入船」と題する新春を祝う恒例の演目、第2が「祇園祭礼信仰記」と題する「金閣寺」を舞台とした時代劇物、そして第3が「傾城恋飛脚」と題する人情物、という構成で、30分間の幕間をはさんで、正味約3時間という公演の充実ぶりに、観客もすっかり堪能したという印象でした。

