大学の自治はどこへ
2007年 12月 27日
かつての大学では、教授会自治が確立していましたので、学内選挙で選ばれた人が学長になることは、大学自治の当然の内容として誰も疑わなかったのです。それは教授人事にも及び、かの「瀧川事件」の歴史的な教訓も、まさにそこにあったのです。
しかし、今や「独立行政法人」化した国立大学では、学長は「(学部長や学外者らで作る)学長選考会議が決める」ことになったのです。ただし、最近までは、ほとんどの国立大学が、学内選挙による投票(学内意向投票)で1位になった人を学長に選ぶという方法をとってきたといわれています。
ところが、学長選考会議自体に学外者が入り、学長候補者にも学外者が入ってくると、学外者が選挙で選ばれる可能性だけでなく、山形大学のように、官僚、しかも文科省出身の官僚が学長に「天下り」するケースが現に出てきており、しかもそれで学内もまるく収まるというのですから、開いた口が塞がらないというのが、率直な印象です。そして、この前例が広がる可能性があるとしますと、国と一線を画するという大学自治の伝統はまさに風前のともし火といわなければなりません。
かつて、瀧川事件を経験した戦後の京都大学では、佐伯教授が、まず第1にやることは大學の自治を回復することであり、文部省に大學の自治を認めるという一札をとってくることだといわれていたことを想起する必要があるでしょう(松尾・瀧川事件、261頁)。

