戦後変革の不徹底
2007年 04月 24日
私も、戦後の変革がいかに不徹底であったか、なぜ不徹底に終わったかを、各分野ごとに事実に基づいて明らかにしておくことが、「戦前に帰ってはならない」という切実な願いを実現して行くために、今なお必要であることを痛感しています。
なお、上記の論文の中に、この検事が戦前、美濃部亮吉氏を治安維持法違反の疑いで取り調べたときの様子が記されていますので、その部分を引用しておきます。
「井本台吉という検事が取り調べに来た。その調べ方のいやらしさは、いま思い出しても気持が悪くなる。とにかく治安維持法に違反するようにいわない限り絶対に供述書を作らない。彼の意思に沿った答弁をしない限り、よく考えておけといって、2週間でも3週間でも放っておかれる。彼によれば、赤字公債を発行するとインフレーションになると書いた私の論文は、日本の戦費調達を困難に導き、ひいては―警察や検事局はこの言葉が好きだった―蒋介石に対する利敵行為になるというのだから、全くあきれてしまう。この井本台吉という検事は戦後出世して、いまは最高検の部長をしているということである。まことに恐ろしいことである」。

