佐伯先生を偲ぶ会
2007年 02月 06日
開会の辞に次いで、全員が黙祷を捧げた後、数名が追悼の辞を述べましたが、私が最初に指名されて、大変緊張しました。私は、①佐伯先生とはじめてお会いしたのが昭和30年のころ、立命館大学の先生の研究室に伺ったときであったこと、②佐伯先生は、当時の若い研究者のために「刑法読書会」という新しい研究会を組織され指導されましたが、これが実に50年以上もの間継続し、現在まで生き続けていており、われわれの世代がその第1期生であって学恩が最も深いこと、③佐伯先生が研究の在り方について、外国の制度や理論を研究する場合にも、常に日本の研究者が当面しもしくは背負っている問題の正しい処理と解決に役立つことを意図したものであってほしいと要望されていたこと、④佐伯刑法学の特色は、何よりもその歴史的な分析方法にあり、慎重で冷静な筆致のなかにはげしい情熱がかくされていること、⑤私自身がこれまで研究者として歩むことができたのは、ひとえにそのときどきに佐伯先生から適切なアドバイスを頂いたおかげであること、そして最後に、先生のご自宅を訪問した際には、いつもその帰り道で、もっと勉強しなければという気持ちを抱いたことなどの経験談を話しました。
ところが、その後の参加者の方々のお話を聞いているうちに、学者のみならず、いかに多くの実務家の皆さんが、私以上に佐伯先生に私淑してその教えを受けておられたのかという事実を改めて思い知らされることになり、ますます佐伯先生の偉大な指導力と影響力に驚嘆するほかはありませんでした。当日配布された「追悼文集」が、補完されてまとめられることを期待したいものです。