佐伯先生91歳の講演
2007年 01月 30日
その一つとして、佐伯先生が91歳のご高齢のときに、大阪弁護士会館で講演された記録を入手することができました。これは、1999年(平成11年)9月20日に、「刑事弁護と刑事訴訟法50年」と題する第42回日弁連人権大会プレシンポジウムの際の基調講演の一つとしてなされたもので、講演のテーマは「全面的証拠開示と刑事訴訟法」というものでした。
この記録は、現在私が所属する事務所の伊賀興一弁護士が、この貴重なシンポジウムの総合司会の役割を果たしたという歴史的な事実とともに、私に知らせるべく送られてきたものです。
私自身は、この講演の趣旨自体は先生からどこかでお聞きしたような記憶はありましたが、改めて佐伯先生のこの文章に直接触れることによって、その一貫した鋭い論旨とその説得力を支える情熱的な人権感覚に圧倒されてしまいました。先生は、結論として、「法規の明文の根拠がなくても、合理的だと思われる場合には、・・・・裁判所による公判前の証拠開示命令は可能だという方向に裁判所を引っ張って行かねばならないのです」といわれていますが、それは弁護士が裁判所を動かして行くだけの情熱と力量を身につけるべきことを若い弁護士達に訴えられているように思われるのです。
そして、同じことは、学者の場合にも言えるのでないかと自省している次第です。

