タウンミーティングの「ケジメ」
2006年 12月 19日
安倍総理も塩崎官房長官も、率直に非を認めて、給与の一部返上という形で「ケジメ」をつけたとしましたが、それが民主主義の基本的なルールにかかわるものだけに、これで一件落着というわけにはいかない根深い問題があります。
私はとくに、この事実がたまたま外部から発見されて表面化したもので、さもなければそのまま収まっていたであろうと思われること、したがって、問題は今回のTMにとどまらず、これまでの当局主導で行われた公聴会などのすべての行事について、同様な検討を行う必要があることを指摘しておきたいと思います。
今回の「ケジメ」のつけ方にも問題があることは、上記報告書に付された郷原信郎委員の補足意見の中の次のような指摘にも見られます。「今回のような問題が発生したことの責任は、根本的には、タウンミーティング開催の基本方針を決定した内閣及びその開催を担当した内閣府をはじめとする各省庁の組織そのものにあるのであり、質問依頼や公務員の動員などを実行した担当者に対して懲戒処分による個人責任の追及を行うことは、本件問題の本質に反するものといえよう」。このような観点から、今回の懲戒処分の実際の姿を知りたいところです。
ところが、驚いたことに、司法制度TMで「やらせ」質問者案内マニュアルを作ったとされる法務省のある幹部が、「役人の仕事を全うしただけ」で「罪の意識はない」というのです(朝日12月16日夕刊)。それが役人の本音であるとしますと、「ケジメ」なないに等しいことになるでしょう。

