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最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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鹿児島モデル

 過日の研究会の折に、2004年5月30日のNHK総合テレビのスペシャル番組で放映された「犯罪ー町の安全を取り戻せ」という題名のビデオを見る機会がありましたが、その中に、鹿児島市で試みられている少年犯罪の予防対策が取り上げられており、これが特別の興味を引きました。これを「鹿児島モデル」として紹介し、一般の関心を呼び起こしたいと思います。
 この番組では、犯罪が世界的に増加傾向にあるなかで、日本の増加率が先進国のなかではもっとも高いという憂慮すべき状態にあること、都市部よりもむしろ地方の方に増加傾向が高く、とくに新たに交通手段が整備され商店街の進出等で便利になったような場所ほど増加率が高いという傾向がみられることなどが、統計マップを示してで指摘されていました。
 ところが、不思議なことに、各地とも軒並みに増加しているなかにあって、鹿児島市だけは、ここ10年間、犯罪は増加せず、むしろ減少傾向を示しているというのです。そして、その理由のひとつとして、「校区公民館制度」というものがあり、小学校区を単位として、各小学校の敷地内に公民館が作られ、そこを中心として校区内の多くの市民が自由に教育・文化・スポーツなどの活動を少年と一緒になって、地域ぐるみで展開しているという実態があるというのです。とくに印象に残りましたのは、かつては不良少年で暴走族のリーダーだった中年の男性が、今やこの地域活動の中心メンバーとなって、少年への声かけ運動にいきいきと参加している姿、それから市長自身が、少年犯罪を取り締まるのではなく、犯罪を生まない家庭や社会を目指すべきだと謙虚に語っておられたことです。
 これとは対照的に、イギリスのロンドンでは無数の監視カメラが設置されたけれども、その効果は一時的なもので、犯罪予防効果は小さいという報告が出ているということです。
 この「鹿児島モデル」のその後の状況を是非ともフォローし、ひとつの芽として大切に育てて行きたいものです。
by nakayama_kenichi | 2006-03-19 14:27