最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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代用監獄存続の理由

 新聞報道によると、法務省と警察庁の「未決拘禁者の処遇等に関する有識者会議」は2月2日、警察の留置場を拘置所の代わりに使う「代用監獄制度」を存続させるという提言をまとめたといわれる(朝日新聞2006年2月3日)。
 これによると、代用監獄制度の廃止をめぐって意見の対立があったが、提言は、その存続を前提に収容者の人権を保障する仕組みを考えるべきだと指摘し、弁護人との「電話接見」などを認めたという。
 「代用監獄」は、1908年の監獄法制定の際に、本来の「拘置所」(未決監)の不足から警察に附属する「留置場」を被疑者・被告人の拘置場所に代用して以来、実に100年近く存続してきたものであり、単に古いだけでなく、被疑者・被告人の身柄を警察の管理下におくことによって、拷問、自白強要などの人権侵害を生み、冤罪の温床となってきたものである。
 日本独特の代用監獄制度は、国内的な批判のみならず、国際的な批判にもさらされており、国連総会の禁止決議のほか、1993年に国連自由権規約委員会は日本政府に代用監獄の廃止を勧告したという経緯も存在する。
 それにもかかわらず、有識者会議はあえて代用監獄を存続するとし、将来の廃止の展望さえ示さなかった。問題はその理由であるが、「刑事司法手続は各国の歴史と国民性を背景にしており、これを度外視した『国際基準』を尺度に議論すべきではない」というのである。
 しかし、これはおかしな論理であり、これでは「国際人権法」は軽視してよいということを自認したことになる。一方では、テロや組織犯罪対策の面の国際水準の達成には熱心なのと比べても、明らかにバランスを失している。
 代用監獄存続の歴史と現状を誰が作ってきたのかという点を含めて、有識者会議の多数意見の批判的な検討が必要であることを指摘しておきたい。
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by nakayama_kenichi | 2006-02-05 21:50