マックス・ミュラー「愛は永遠に」
2006年 01月 28日
そして、「中世的な、而してドイツ的な恋愛に魅力を感ずる。恋愛に於いて、人間以上の力の存在を感ずるという事は本当だろうと思う」という感想が書かれている。
それだけかと思ったら、日記の次の頁には本書から抜粋した「引用」文が一面に並べられた後、さらに以下のようなコメントがついている。「公女マリアは、キリスト教的な思想を基としつつ人間的な叡智の深さを持った純粋で敬虔な美しいひとである。ワーズワース、ホーマー、ゲーテ、ミケランジェロ、それにアーノルドの詩についての引用がある美しい小品である。人間的な奥深い魅力というものが、ここでは神や自然の永遠の美につながっている。憩いが其処にあるのだと云う。情熱的で激しい、而も瞬間的な青年期に特有な恋愛よりも、淡い、しかも純粋で献身的な、而も敬虔にして永遠性のある少年期の愛情を賛美している。この辺りには、ヘッセを思わせるものがある。人間が、神は別としても、自然を忘れる時、それは既に、泉の根元を忘れることになりはしないか。真理に対する敬虔さも要求せられる。積極性が傲慢になってはならない」・・・・・。
私は、その後も、専門の法律書以外には、あまり小説など読むことなく過ぎてしまったが、今50年ぶりに、昔を回想しつつ、この美しい小品に目を奪われた。そして、自分自身の幼い頃の純情さにも思いをはせたい気持ちになった。