国公法と地公法の罰則の違い
2006年 01月 15日
しかし、問題はそれにとどまらず、両法の「罰則」を比較して見て、さらにいくつかの無視し得ない相違点があることに気づいたので、大方の注意を喚起しておきたい。
第1は、罰則規定の数の点で、国公法の方が突出して多いということである。地公法が全部で8個であるのに対して、国公法の方は何とその8倍にも当たる33個にも及ぶ膨大なものである。これらはみな「犯罪行為」とされているのであって、国公法の方が、いかに軽微な形式犯にも広く刑罰を科しているかを物語っているといえよう。
第2は、とくに「政治的行為の制限」について、地公法がこれを罰則から除外しているのに、国公法はこれにも罰則を定めているほか、その内容を「人事院規則」に包括委任しているので、人事院規則の規定をこれに加えると、この上にさらに17個の「犯罪構成要件」が加わることになるという点である。これらを合計すれば、国公法は実に50個にも及ぶ「犯罪行為」を定めた、異常に肥大化した「刑罰法規」でもあることを意味する。
第3は、地公法にも共通する点であるが、法定刑が「1年以下の懲役又は3万円以下の罰金」または「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」とかなり重く、刑法犯には軽微な「軽犯罪法」(拘留又は科料)があるのと比べても、法定刑が重すぎるという点である。
この点では、罰則の数を大幅に制限し、政治的行為に対する罰則を除外した地公法の良識ある立法政策を改めて積極的に評価することによって、国公法のような「犯罪化」の方向への揺り戻しの動きを何としても食い止めなければならない。