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最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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政治献金の役割と構造

 2005年12月9日の朝日新聞の記事として、以下の2つが目についた。いずれも見逃してしまってはならない「政治献金」に関するものである。
 第1は、すでに古いもので、日本歯科医師連盟が、01年11月に橋本元首相、山崎元副総裁ら政治家7人に政治献金をしたという事件で、7人は政治資金規正法違反として告発を受けたが不起訴とされ、東京第2検察審査会などが山崎元副総裁について「起訴相当」、橋本元首相ら6人について「不起訴不当」と議決しため、東京地検特捜部が再捜査したが、いずれも再び不起訴とし、これで一連の捜査は終結するというものである。
 第2は、一番新しいもので、耐震偽装事件に関連して、自民党森派の政治団体が、05年12月8日、耐震強度が偽装された建物の建築主である「ヒューザー」「東日本住宅」や検査機関「日本ERI」などから政治献金を受け取っていたことを明らかにし、01年ー04年の献金分計660万円を返すことを決めたという。政治資金は規制法に従って適正に処理しており、政治資金は寄付者に返還し、被害救済に役立てて欲しいという談話を発表したというものである。
 前者は、政治献金の処理について政治資金規正法違反の立件でさえも、検察審査会の議決にもかかわらず、結局は見送られてしまうという典型例を示したものであり、国の刑罰権が下に厳しく上に甘い現実を顕在化したものといえよう。
 後者は、問題となって社会的批判を浴びた企業や団体が例外なく政府与党を中心に政治献金をしていることが明らかになっても、政治家がこれを返還すれば済むという構図を示している。そして、献金した企業や団体が非難され責任を追及されても、政治献金をうけた政治家の方には影響しないような仕組みが公然とまかり通っているのである。
 そして、後者の耐震偽装の関連会社からの政治献金は、上野公成・元官房副長官らに652万円という形で、まだまだ広がる可能性がある(朝日12月22日夕刊)。
 政党助成金があるにもかかわらず、政治献金が大手を振ってまかり通っている現実とその構造自体にメスを入れることが求められているのではなかろうか。
 
by nakayama_kenichi | 2005-12-22 18:27