新司法試験の合格者数について(2)
2005年 12月 03日
1.司法制度審議会が述べたのは、法科大學院が厳格な成績評価と修了認定をすることを不可欠の前提とした上で、例えばその約7-8割が新司法試験に合格できるような充実した教育を行うべきであるというものであって、法科大學院の卒業者の7-8割が必ず合格することを保障するという趣旨ではない。
2.具体的にも平成18年の第1回試験では、法科大學院修了予定者約2000人のうち約900-1100人の合格者が予定されているので、その約5-6割が合格することになる。
しかし、以上の2点をそのまま認めたとしても、果たしてこれまでの疑問が解消するであろうか。第1に、法科大學院の定員が約6000人、司法試験の合格者数の最大限が約3000人という絶対数が変わらない限り、7-8割どころか5-6割も無理であり、次年度(2007年)以降は3割台になることは必定である。それでも、7-8割が概数や目安として残るというのは幻想である。第2に、在来の司法試験の合格者が圧倒的に上位5校の大學に集中する傾向がすでに定着している現状の下で(上位5校だけで全体の6割を越える)、新司法試験の合格者にも同様な傾向が現われるとすれば、法科大學院間の格差を歴然たるものにするおそれが強いことが心配でならない。