時代遅れの研究至上主義か
2005年 11月 23日
そのような印象を与えかねなかった点は反省していますが、そのような評価は少なくとも私自身のこれまでの思想と実践とは違うものだと確信しているということだけは指摘しておきたいと思います。
私自身は、戦後当初の旧制大学と大學院で「学生」の経験をし、その後は大學の「教員」として、教育と研究に長年従事してきましたが、最近では客員弁護士として少しばかりですが実務にも関係しています。
その中で、私はむしろ「古い研究至上主義」から脱却して学生への教育指導の側面に力を入れるべきであることを次第に痛感するようになりました。講義の方法にも工夫し、前回の復習に資するような「自習問題」を配布し、短時間に解答させてコメントをするという方法も、かなり早くから取り入れていました(「口述刑法総論・各論」の付録、参照)。
一方、研究の面でも、研究の意欲と関心を喚起し持続させるために複数の「研究会」を組織し、これを最大限に利用することによって、年代と大學の相違を越えた研究者の自主的な連帯と協力を維持し発展させようと努力してきたつもりです。そして、刑法解釈学の範囲をこえた、他の領域との共同研究にも関心を持って参加してきました(選挙、労働、環境、医療問題などに関連する著書など、参照)。
ただし、私は批判的な立場から発言することが多いからでしょうが、当局の任命する審議会の委員などに選ばれた経験がなく、在野的な精神の表現にとどまっています。

