小泉内閣の新閣僚
2005年 11月 01日
小泉首相を含めたこれらの閣僚の経歴が語られる際には、その表面的な学歴や職歴や役職等を並べる前に、これからの日本の政治を動かそうとするこの人たちが、果たしてどのような人格形成や思想形成を経てきたのかを問題としなければならない。
とくに重要なのは、この人たちがどのような憲法教育を受けてきたのかという点である。この人たちは戦前の「大日本帝国憲法」を教えられたのではなく、戦後の「日本国憲法」の下で平和と民主主義と人権を尊重する教育を受けてきたと考えられるにもかかわらず、なぜこの憲法を擁護する方向ではなく、むしろその根本原則を変えようという思想に傾くことになったのであろうか。その契機となったのは何であったのかということを、マスコミの取材などでも、もっと聞いてほしいものである。
私どもの世代は、中学では戦前の教育を受けた後、敗戦という契機を経て、高校で戦後の憲法を学び、当時の文部省も肩入れした憲法の普及運動に取り組んだ経験がある。しかし、その後の世代は、この憲法の下で教育を受けたにもかかわらず、すでに占領軍の政策が転換し、冷戦下で日米安保体制が形成され、自衛隊が強化されるなど、反動的な政策の再編成が進んだために、憲法の真価を自ら体験することが困難になったものと思われる。自覚的な憲法擁護の姿勢がなければ、現状を肯定し流されて行くことは目に見えている。それにしても、閣僚が揃って靖国神社に参拝するという姿だけは見たくないものである。

