法制審議会の議事録
2005年 09月 30日
その最大の理由は、すでに書きましたように、発言者の名前が全部「匿名」になっており、●がずっと並んでいるので、誰の発言か判別できないというところにあります。審議会の委員の名簿と、部会長、部会長代行の名前だけは公表されているのですが、それがかえって想像をかき立てるのか、余計に神経をとがらせ、落ち着かない気分になり、途中で投げ出したくなるのです。
部会は、表決権のある委員と表決権のない幹事に分かれているのですが、発言は両者とも許されているようです。発言者の名前が伏せられているので、面白い現象が生じることがわかりました。それは、ある委員または幹事の発言の中に、他の委員や幹事の意見などが引用されるときも、その名前を出すことができませんので、「○○委員、○○幹事の意見」というような形で表現されることになり、それがどの人のいつの意見なのかが分からないということで、関連が分からず、迷路に陥ってしまうことです。
このような「匿名」の議事録では、それが公開されているといっても、それは名ばかりで、審議の内容を正確にフォローすることは不可能です。匿名を顕名にするという当たり前の改革すらも、法制審議会の内部から声があがらないというのは、異常としかいいようがありません。この「匿名の伝統」はいつまで続くのでしょうか。

