介護保険制度の改正
2005年 09月 27日
しかし、この施設も、今年の10月からの介護保険制度の改正によって困難に直面している。今日、自治体の係官から入居者家族への説明会が開かれたが、その趣旨は、10月から入居者の「居住費」と「食費」が介護保険の給付から外され、自己負担になるというものである。その結果として、低所得者に対する軽減措置はあるものの、全体としては入居者と家族の側の負担増は避けられないというのである。その背景には、介護保険に対する給付額を抑制しようとする国の政策が存在することは明らかである。
それが、介護保険制度の破綻を回避するためのやむを得ない措置であるというのであれば、ある程度受け入れざるを得ないであろうが、私としては、むしろ手続的な問題として、改正の直前になって結論のみを提示するという方法ではなく、もっと早く、情報を開示した上で、施設や利用者の意見を聴くという方法がとられるべきではなかったかと説明会で述べた。特別養護老人ホームの入居者と家族は、まだめぐまれているともいえようが、介護問題をかかえる年金生活家族にとっては、ようやく訪れた秋の風と雨は暗く冷たい。
しかも、この改正は、入居者だけでなく、特別養護老人ホームの経営にも暗い影を投げかけている。とくに、新しいタイプのユニット型のホームへの影響は深刻で、赤字経営に陥るか、介護のレベルを下げるかという苦しい選択を迫られることになる。むしろ、手厚い良心的な施設の方が深刻な影響を受けるおそれがあることが真剣に危惧されるのである。