私の病歴
2005年 09月 16日
ひとつは、大学生の時代に罹患した「結核」である。これは、戦後当初の食糧難で栄養失調になり、自宅から長時間の通学をするなどの無理が原因で発病したものであり、療養費もないので、田舎で長期の「自然療法」を強いられた。そのため、大學は休学し、卒業後は就職もできず、それが大學に残るきっかけになったことについては、先に述べたことがある。一応の回復後も、数年間は朝6時起床、夜9時就寝という、きびしい「摂生生活」を余儀なくされた。夕方になると微熱が出るという、この病気に特有の気分は今でも忘れ難いものがある。
今ひとつは、大學を退職する前後の70歳頃のことであって、これは甲状腺の治療中に全く偶然に発見された「脳下垂体腺腫」という病気であった。直ちに外科手術をして、結果的には幸い成功したが、私としてはあぶないと思って、事前にはとりあえずの身辺整理をしていたのである。術後の2,3日間は地獄の苦しみを味わったが、回復は予想外に早く、わずか一週間あまりで退院したので、ほとんど誰にも知られないままに、平常に復することができた。しかし、鼻や喉に後遺症が残っているほか、一時耳がほとんど聞こえなくなるなどのトラブルもあり、補聴器を探し回ったこともある。しかし、その後は特別の異常もなく安定し、もうしばらくは命を保ってくれそうで、有難いと思っている。

