昭和1桁世代
2005年 06月 27日
病気休学した後、大學に残って刑法学会に入った私は、貧乏でなかなか東京まで出かけることもままならなかったが、すでに頭角をあらわしていた東大の藤木、早大の西原、慶大の宮沢らの同世代の学者の存在を意識し、その仕事ぶりに注目していた。その後、私どもは同世代を意識した親密な交流を始めるのであるが、そこには3つの契機があった。
第1は、「法律学の未来像ー昭和生まれの学者による座談会」(書斎の窓、131,132号、有斐閣、昭和40年)であり、藤木英雄(東大助教授)、西原春夫(早大助教授)、田宮裕(北大助教授)、中山研一(京大助教授)の若い4名が、それぞれの未来像を語り合っている。
第2は、「刑事政策講座」(1-3巻、成文堂、昭和46年)であり、藤木、西原、中山のほか、宮沢浩一(慶大教授)を加えた4人の共同編集となっている。序文には、刊行の趣旨として、世界的な動向を踏まえつつ、わが国の刑事政策の現状を認識・評価し、将来を展望しようとするものであるとうたわれている。
第3は、「現代刑法講座」(1-5巻、成文堂、昭和52年)であり、さきの刑事政策講座と同じ4名の共同編集となっている。その序文には、学界の中で年齢的にほぼ真中の世代に属する私どもが、かつての学会の「講座」に範型を求めた新しい「現代刑法講座」の出版を企画するものであるとうたわれている。
とくに、後者の2著は、4名の共同編集作業として、思い出深いものがあるが、第1の座談会については、20年後か30年後にフォローアップ・スタディをしたいと言われていた藤木教授自身が最も早く亡くなられ、田宮教授もすでに他界されてしまい、フォローアップ・スタディができないのが、何としても残念である。

