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最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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刑法読書会のこと

 前回に佐伯千仭先生のことを書きましたが、先生は『刑法読書会』という研究会の発案者であり推進者でもあります。その発足は昭和30年(1955年)秋頃のことで、佐伯先生は当時を次のように回想されています。「戦後しばらく離れていた教授生活に戻ってみると、研究室に残って勉強している若い大学院の学生諸君が、何にどこからどう手をつけたらよいのかと研究に些かとまどっているように感じたことと、またひとりで外国書ー殊にドイツ書ーを読むのがいかにも頼りなげであったので、その歩き出しのお手伝いをしようという気持だった。そこで京大と立命館の大學院の諸君を主なメンバーとして、平場、宮内教授と一緒にこの「刑法読書会」を始めたのである」(泉ハウス・刑法読書会20周年記念文集『梁山泊のひとびと』1978年,2頁)。
 私自身は当時京大の助手でしたが、刑法読書会には仲間の院生とともに最初から積極的に参加し、月例研究会では、佐伯、平場、宮内の3先生に中先生を加えた豪華な教授陣に厳しく暖かい助言を頂いた若き日の熱い思いが今でも忘れられません。 
 刑法読書会は、その後も継続し、30周年には再び文集を発行して、連続記録をきざむことになりました(泉ハウス・刑法読書会30周年記念文集『続・梁山泊のひとびと』1989年)。 
 その間、宮内、平場、中の3先生のほか泉先生も亡くなられましたが、佐伯先生は読書会の象徴としてなおご健在であり、月例研究会は現在まで中断することなく続いています。今年も、8月には恒例の夏合宿が計画されていますが、信州の蓼科で佐伯先生とともに山登りをした頃のことがなつかしく思い出されます。
 
by nakayama_kenichi | 2005-06-24 17:47