心神喪失者法の施行前
2005年 06月 03日
このまま施行してしまえば、遅れは施行後に補うといってもその保障がなく、法が掲げている「高度で手厚い医療」の実施が危うくなり、禍根を残すおそれが大きい。
このことは、本法の支持者による次のような期待を裏切ることにもなるであろう。
山上皓氏「当初計画しているものができれば、日本の精神医療が欧米並みになるのはそれほど遠いことではない・・・。(しかし)それには、各地に設備と人をきちんとつくっていかなければいけないのであって、センターを2つつくったくらいでは社会復帰はできませんし、その地元に帰ることはできませんから、そういうことを含めると早急に全国に整備していくべきだ・・・」。
松下正明氏「入院治療という場だけを考えてみると、従来の精神医療よりも、はるかに恵まれた環境で触法患者が治療を受けることになります。いまは、48人の患者に医師1人という特例があります。内科や一般科は16対1です。それが、今度は8対1になります。4人に1人です。1病棟30人にすると、4人の医者、原案でいくと看護師が30人、プラスしてソーシャルワーカーや心理士が入りますから、それは非常に恵まれた環境になります・・・」。(以上は、座談会・心神喪失者等医療観察法の成立、ジュリスト2003.11.15、32頁から)。