脳死・臓器移植研究会の再開
2005年 05月 24日
この研究会はその後しばらく中断していましたが、最近の臓器移植法の見直し問題を契機に、かつての会員が5月22日に久しぶりに再会しました。欠席は2名で、集まった5名はみなかなり年をとりましたが、当時の元気を取り戻し、議論に花が咲きました。
河野案には親族優先の問題があるものの、これはほとんど実際上の効果には影響がないことや、福島案は複雑で真意がよく理解できないことなどの点が指摘されましたが、とくに印象的だったのは、臓器提供要件を家族の承諾のみで足りると変えた場合に、実際に臓器提供事例が欧米なみに増えるのかどうかという予測に関して、医師の間でも意見が大きく分かれたという
ことです。移植医は、現在の死体腎移植例(年間約170件)からすれば、脳死移植例(年間5-6件)も現在の10倍位に増加するだろうといわれたのですが、脳外科医は、日本人の脳死に対する抵抗感からすればほとんど増えないであろうといわれたのです。
少なくとも、ドナーカードの普及率が低いから家族の承諾のみで足るようにしようという政策論だけでは問題が解決しないことは明らかで、「真っ向から脳死論議を」すべきであるといわれるのには、理由があるように思われます。

