臓器移植法の見直し
2005年 05月 19日
しかし、その前に、1997年に臓器移植法が成立した当時の問題状況をしっかりと記憶にとどめておく必要がある(中山=福間編・臓器移植法ハンドブック、7頁以下参照)。
ここでは、中島みち氏が2005年4月13日の与党有志議員の検討会(第7回)でのヒアリングの際に、以下のような趣旨の発言をされていることに注目しておきたい。
それは、現行法の「見直し」規定では、抜本的な改正法案の提出を許していないとするもので、将来的には「見直し」という言葉を利用して脳死を人の死とする巻き返しも予想していたが、自ら現行法の作成責任者に文書で確認し、「見直し」条項が第1次修正案のときのような意図を含む可能性は絶対にありえないと確約してもらっているというものである。
ただし、附則第2条の文言自体は、「この法律の施行後3年を目途として、この法律の施行の状況を勘案し、その全般について検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるべきものとする」となっており、見直しの方向や内容の限定はついていない。
しかし、これは重大な問題なので、当時の国会審議の際の議事録を含めて、見直し条項にかかわる問題状況を調査し確認しておく必要があると思われる。
私も、中島氏が言われるように、14年間の議論の末に出した本法の基本的な原則をそう簡単に転換することには重大な疑義があり、腰を据えた慎重な検討が必要であると考える。

