「君が代」起立条例案
2011年 05月 15日
入学・卒業式での国旗掲揚と国歌斉唱は、1989年の学習指導要領改訂で義務づけられたものですが、君が代の起立斉唱については、とくに東京都教育委員会が学校側に文書で厳しく通達し、これにしたがわない教員を大量に戒告などの処分にしてきたことで有名ですが、その動きは各地に広がり、大阪にも波及していました。
しかし、処分を覚悟であえて起立しない教員がそれでも絶えることはなく、処分取消しを求める訴訟も続出しているのが現状です。それはなぜでしょうか。それは、戦後すでに60年を経過したとはいえ、戦前は日の丸と君が代が大日本帝国主義の侵略戦争の時代に、まさに戦争を讃美し国民を総動員する神聖な「日本国体の象徴」として文字通り強制されていたという厳然たる歴史的事実があったからです。私自身も、いまだに当時のことが忘れられません。
戦後、天皇の人間宣言はありましたが、日の丸と君が代は全くそのままなので、日本の歴史を教える先生がとまどうのは、むしろ当然といってよいでしょう。訴訟では、最高裁判所の多数意見は「思想・良心の自由」に反しないとしましたが、少数意見も付されており、学会にも反対意見が多いのです。処分による威嚇によって強制して得られる「愛国心」の涵養とは、教育の理念にそぐわない非人間的で卑屈な服従にほかならないでしょう。
大阪維新の会がこの条例化を推進するとは、その「正体」見たりということでしょうか。それは、「強制しないように」という天皇の意思にも反することになることを知るべきでしょう。