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最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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「一日一善」の終末

 この高齢者用マンション内で親しくなった90歳の老夫婦の奥さんが手押し車で危なかしく歩かれているのを見て、廊下を歩行する手助けをするようになり、毎日、朝食後と夕食後の2回、マンション内の廊下をゆっくりと散歩するのが日課となって長く続いていたことは、このブログでも何回か紹介してきました。
 その奥さんが、昨年10月に軽い脳梗塞で倒れて入院治療の後、提携病院でリハビリを続けられていることも報告してきましたが、年を明けても、なかなか退院の目処が立たず、かえって全身の衰弱が進んでいることを心配していました。
 その間、同じく90歳のご主人が、毎日入院先の病院まで、バスや車で介護に通われている姿を見て、感服するとともに、ご主人の体調の方も心配になっていました。心臓の手術をし、膀胱がんの後遺症をかかえながら、しかし自動車を運転されるという傑物ですが、何といっても年は争えないからです。
 ところが、数日前から奥さんの容態が悪化しはじめ、食べ物が喉から入らなくなり、点滴で栄養を補給する状態が続き、意識はあるものの、次第に反応が鈍くなり、呼吸も苦しくなって人工呼吸器をつけるというように、典型的な末期症状が現れるようになりました。
 私が最後にお見舞いに行ったときには、一時の幻覚症状は消えていましたが、言葉の意味が不明で、しかし別れるときはおだやかに手を振っておられました。しかし、結局は、2月15日未明に、亡くなられたことをご主人から聞きました。残念ですが、こればかりは何とも致し方ありません。お元気であったころの思い出、とくに食堂で一緒に食事をした後、1年以上もの間、マンションの廊下を2人連れで歩いたという貴重な体験を心に残しつつ、今はただご冥福を祈るのみです。今日は、喪に服します。
by nakayama_kenichi | 2011-02-15 11:14