裁判員法を読む
2011年 01月 10日
施行以来、3年目を迎えることになった「裁判員制度」については、これまで、この「ブログ」でも何回か取り上げたことがありますが、法律に素人の皆さんに話をすることになりますので、あらためて「裁判員法」に関する解説書を読んで、報告の準備を始めました。
ただ、裁判員裁判も、すでに1500件を越す判決が出ており、最近では、とくに死刑求刑事件をめぐって、死刑か無期か無罪かという緊張した場面が報じられていますので、世論の関心は決して低くないように感じられるのです。
新聞の世論調査によりますと、裁判員制度の導入時には、賛成派が34%と少数であったが、現在では制度を導入して良かったと思う人はほぼ半数に達し、不安や戸惑いはあるものの、人々は裁判員の働きを前向きに受け止めているといえるだろうと論評されています(朝日新聞1月6日社説)。
ただ、気になりますのは、裁判への信頼が高まると答えた人が34%にとどまるという点で(変わらないが48%)、これは裁判員制度を導入した目的が「裁判への信頼を高めること」にあるとされていたことと関係があります。しかし、その意味があいまいなところに問題があり、むしろ「裁判官(僚)司法」を市民に身近なものにするという意味にとらえ直す必要があります。そして、健全な「市民感覚」が従来の裁判を変えたのかという観点からの検討と評価が必要だというべきでしょう。