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最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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仙厓和尚の生き方(2)

 ブログのコメントに、仙厓和尚が博多の聖福寺にいた時の句と銘菓「うそ餅」との関わりが紹介されていますので、もう少し、前回の「仙厓無法の禅」の中に紹介されているエピソードのいくつかを加えておきます。
 1.国風の意識 仙厓和尚は、禅を中国から伝えた栄光禅師を「千光祖師」として敬愛したが、今さら中国の禅に学ぶのではなく、日本禅の初心である「千光祖師」に還ることを重視した。「鶴の絵」の賛には「鶴は千年、亀は万年、我は天年」とある。
 2.無禅の禅 仙厓和尚が65歳のときに書いた「観音大士」には「他人を益さんが為に起すならば、喜怒哀楽の心皆大慈悲となる」とあり、70歳で描いた絵の賛には「神儒仏の三つ足で立鍋への内、塾っくりとして、むまいものなり」とある。
 3.「軽み」の境地 松尾芭蕉の俳句から「軽み」を学び、「古池や蛙飛び込む水の音」をもじった仙厓和尚の画賛がいくつかある。「古池や芭蕉飛び込む水の音」、「池あらば芭蕉に飛んで聞かせたい」。また「坐禅蛙」という画賛もある。
 4.同慶と「遊」 良寛は「戒語」に学者くさき話、さとりくさき話などをあげたが、仙厓和尚も、「学者の学者くさきは、なお忍ぶべし、仏の仏くささは忍ぶべからず」と書いている。「を月さま幾つ、十三七つ」という賛の入った子供と遊ぶ絵もある。
 5.みんな同い年 「老人六歌仙」と題した絵には、老人の痛ましい状況が画賛につづられているが、仙厓の絵が入ると、一気に明るく和やかになる。「年には勝てませんばい」と弱気にいうと、「人間はみんな生きてる間は同い年ばい」と答えたという。
 6.絶筆 83歳で「絶筆碑」を立てた後も、求められれば書画を書いたといわれる。しかし、88歳の病床では「今、崖っぷちにぶらさがっとって、手ば放されんけん、雲が深うて、行き先がよう見えんばい」といい、最後には「死にとうない」と答えたという。
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                  神儒仏の三つ足
仙厓和尚の生き方(2)_c0067324_1942503.jpg

                   子供と遊ぶ和尚
仙厓和尚の生き方(2)_c0067324_19434212.jpg

by nakayama_kenichi | 2010-12-02 17:52