著書の誤字・脱字
2010年 10月 17日
これは、丁寧で良心的な方法ですが、どんなに慎重に目配りをしても、誤字や脱字がどうしても避けられないのが現実であることは、私自身も本の著者の1人として認めざるをえません。
最近は、パソコンで執筆するものが多く、同じ発音の別の漢字を入れてしまい、意味不明というようなケースがあるのは論外ですが、細かい誤字や脱字については、よく似た文字があり、句読点の打ち方を含めて、著者自身が読み直しており、編集部の校正係りの点検をパスしたにもかかわらず、仔細に見れば間違っている場合も稀ではないというのも不思議な現象です。
今回、その著しい例を、私自身の著書について、再確認する機会がありました。それは、毎年度、私の『口述刑法各論』を教材として講義して下さっている東京のある大学の刑法の先生ご自身が、その著著の誤字・脱字を含む不正確な記述の部分を徹底的にマークして、ほとんど全頁にわたって、疑問箇所に「付箋」を付ける作業をなさっていることが判明したからです。
過日、上京した折に、出版社(成文堂)の人とともに、この方に面会して事情をお聞きする機会がありました。こんな面倒な仕事を、特にご依頼したわけでもないのに、むしろ進んでやって下さったご厚意とご苦労には、ただ感謝のほかはありません。本は読者のためにあるものですが、多くの人々の協力によって、できるだけ正確なものを提供したいという気持を新たにしました。同時に、誤字・脱字を指摘してくれる読者にも感謝します。

