韓国の国民参与法の動き
2010年 09月 29日
私は、コメントの中で、韓国の国民参与制度が「陪審制」に近く、陪審員の役割がはるかに大きいこと、被告人には国民参与裁判を「選択する権利」が認められていること、陪審員の評決が原則として「全員一致」とされ、結果的に「無罪率」が一般事件よりも多いことなどの点に注目し、そして何よりも韓国では捜査過程の「全面的な可視化」が実現済みであり、死刑も凍結状態であるなどの点が、日本の裁判員制度に大きな示唆を与えるものであることを指摘しました。
その著者から、韓国の国民参与制度のごく最近の動き(2010年9月現在)を知らせて頂きましたので、そのポイントを紹介しておきます。
1. 実施件数 件数の少なさが問題視されているが、2010年1月から8月まで、83件と若干増加傾向にある。
2.今後の参与法の見直し とくに「選択制」について、対象事件のうち、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた犯罪について、国民参与裁判を原則的に強制とする議員立法が、現在審議中。また、司法制度改革特別委員会でも審議され、大法院は、原則強制となる事件を年間500件と試算している。著者自身は、おそらく選択制が全廃されることはないだろうとする。
3.制度の検証面 シャドウジュリー(影陪審)制度がソウルで試行を開始し、段階的に全国に拡大される予定で、これが制度の検証に用いられることになるとする。
以上のほか、韓国の国民参与法の動きについての著者による今後のフォローに大いに期待したいところです。

