規範意識のキーワード
2005年 04月 17日
強姦罪の法定刑の下限を2年から3年に引き上げるのも、殺人罪の下限を3年から5年に引き上げるのも、傷害致死罪の下限を2年から3年に引き上げるのも、傷害罪の上限を10年から15年に引き上げるのも、また有期自由刑の上限を15年から20年に引き上げるのも、加重する場合は30年に引き上げるのも、さらに公訴時効の期間の最高を10年から25年に延長するのも、すべては国民の規範意識が要求しているからだというのである。
国民の平均寿命が延びたからという理由も挙げられていたが、これは自由を拘束されている期間の価値も高まったという反論にあって相殺されたあとは、もっぱらこの規範意識のキーワードが繰り返し主張された。凶悪・重大犯罪が増えているので、世論に答えるためだと言われれば反論も難しいように思われるが、果たして犯罪が増えているのかも問題だという意見もあるほか、重罰化しても犯罪抑止の効果があるのかも疑わしく、ただはっきりしているのは刑務所の過剰収容をますます促進することだけであるということになりかねない。
刑法学者は、刑罰論を再検討しなければならないはずであるが、法制審議会の学者委員がすべてこの引き上げ案に賛成したというのも不思議というほかはない。

