法科大学院の改善策
2010年 09月 20日
このような考え方は、すでに2009年の中教審法科大学特別委員会が示した方向であり、この前にも触れました、法務省・文科省「法曹養成制度に関する検討ワーキングチーム」の検討結果(2010年7月6日)の趣旨にも沿うもので、9月16日に開かれる「中教審特別委員会」で発表されることになっているといわれていました。
たしかに、法科大學院の志願者数が大幅に減少し、非法学部出身者・社会人の割合が減少していること、入学選抜の競争性が確保されていないこと、新司法試験の合格率の低迷が続いていることなど、現在の法科大学院のかかえる問題が深刻な状態にあることは否定できないでしょう。
しかし、そもそもこのような展望のない状態を作り出したのは、見通しもない法曹人口の増加政策に始まり、法科大学院を定員以上に多く認可し過ぎ、卒業した者の7-8割が法曹の職を得られるという期待にも答えられない状況の中で、もっと早い段階から適切な対策をとってこなかった「当局の責任」ではないのかという肝心の点があいまいにされ、棚上げされています。
この矛盾を、弱小法科大學院の切捨てで処理しようとするのは、法科大学院の設立の理念に反し、しかもそれが法科大學院の間での自主的な改善と救済策としてではなく、中央官庁からの上からの統制手段(兵糧攻め)として行われるところに本質的な疑念があります。「大學の自治」は、もはや無きに等しい無残な状態にあります。

