司法試験の合格率
2010年 09月 14日
この数値じたいは、すでにある程度予測されていたところですが、「構想段階では7割程度といわれた合格率が現実は2割強。国にだまされたという感じ」(法科大学院生)といわれてみると、なぜそんな落差が生じたのか、改善の見込みが実際にあるのか、といった点について、法務省や文部科学省に説明責任があるのではないかといわざるを得ません。
朝日新聞も9月12日の社説でこの問題を取り上げ、以下のように現状を分析しています。「合格率も25%となり、制度発足以来下がり続けている。大学院間の実績格差の固定化や進学志望者の減少、それに若手弁護士の就職事情の悪化も加わり、法曹養成問題は大きな曲り角にさしかかっている。法科大學院のありようをはじめ、軌道修正は避けられない」。
しかし、ここでも特徴的なのは、この問題についても、法務省と文科省が今年3月に設置した「法曹養成制度に関する検討ワーキングチーム」が、すでに11回の会合を重ね、7月6日に「検討結果(とりまとめ)」を公表したという事実です。関係者からのヒアリングや実情調査もなされたといわれていますが、メンバーは、相も変わらず法務省と文科省の役人が大部分で、これでは当局の責任や反省の上に立った抜本的な「改革案」は得られそうもありません。むしろ、ここでも発想を転換して、当局からヒアリングを受けた現場関係者を中心とした「第三者機関」を設けて、その意見を当局が尊重するという方式が必要であると考えます。
なお、上記の公表されたワーキングチームの「報告書」の内容も、別途紹介する予定です。