裁判員法に関する検討会(2)
2010年 09月 06日
5.法曹三者とも、新しい裁判員法の制度にどのように対応して行くかという観点から発言していますが、いかに手続をわかりやすくして裁判員の負担を軽減するのかといった観点からの協議会や研修会の取り組みが紹介されています。
6.事務当局から出された資料では、平均審理期間が全体で5.5日となっていること、検察官の上訴がゼロであること、公判準備手続の期間がやや長くなっているが、保釈率が高くなっていること(75.4%)、裁判員のストレス解消のためのカウンセリングの必要が指摘されたこと、などの点をあげることができます。
以上が、3回の検討会の議事録から感じ取られる特色ですが、とりあえず以下に感想的なコメントを加えておきます。
第1は、この検討会の性格ですが、法務省の刑事局が事務局として議論に積極的に参加し、法務省における検討作業に協力するという趣旨のものであれば、当局に対する批判的な意見は最初から出ないように出来ているという限界があります。むしろ「第三者機関」を作って、当局者に説明を求めるという性格のものにすべきでしょう。
第2は、その結果として、裁判員への配慮と負担軽減策が主たる関心事項となってしまい、被害者の権利保護の主張はあったものの、被告人の防御権がどのような影響を受けるのかという点は、弁護士委員からも明確な指摘がないというもどかしさが感じられます。
第3は、裁判員制度が裁判員のためのものでなく、被告人に裁判員裁判を受ける権利があるのなら、韓国のように「選択制」にする見直し案も考えられ、さらに民主党が提案する「取調べの可視化」も視野にいれてほしいと思いますが、これらも無理な注文でしょう。

