宮沢浩一さんを偲ぶ
2010年 08月 13日
「宮沢浩一さん(みやざわ・こういち=慶応大学名誉教授) 7月23日に死去。80歳。葬儀は親族で営まれた。法制審議会委員や日本被害者学会理事長などを務め、犯罪被害者や刑事政策に関する著作が多い。ピアニストの宮沢明子さんは実妹」。
宮沢さんと最初にお会いしたのは、昭和35年(1960年)頃だと思いますが、最初は学会で挨拶するくらいだったのが、昭和生まれの同世代ということで、藤木英雄(東大)、西原春夫(早大)、宮沢浩一(慶大)の3氏と一緒に、出版社の成文堂で落ち合って、学会のことや研究や出版のことなどを相談し議論しあったことを思い出します。年末の研究会の後などには、12月31日の夕方に仕事が終わってから、4人とも年賀状をかばんから取り出すといった懐かしい一幕もありました。
4人のうち、一番若い藤木さんが45歳の若さで亡くなったのは、何としても残念ですが、今度は次に若かった宮沢さんが80歳で亡くなり、互いに切磋琢磨して、われわれの世代を切り開こうと努力してきた友人をまた1人失うことは、本当に淋しいことです。
宮沢さんの印象は、体格のよい上品な紳士で、学問的な姿勢にはきびしいものがあり、とくにドイツ語がずば抜けて堪能な、犯罪学や刑事政策の分野での若いホープとして、活躍が期待されていたのです。一本筋の通った使命感のある学者として、常に一目おかれた存在だったと思います。宮沢明子さんのピアノは聴いたことがありませんが、そこに共通するスケールと風格を感じ取ることができるように思われます。宮沢さん、さようなら。