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最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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千葉法相の死刑執行命令

 7月28日、千葉景子法務大臣が、2名の死刑執行を命じ、同時に執行したと発表したことが報じられました。千葉法相に対しては、先の公訴時効の廃止・延長問題への対応(全く慎重さを欠いた安易な決定)から見ても、もう何らの積極的な改革の実行も期待していませんでしたが、今回の措置は、自ら死刑廃止議員連盟に所属し、(死刑の廃止を志向するという)自己の信条とも矛盾する行為に及んだという点からも、なぜこの時期にあえて死刑執行命令という「重い決断」に踏み切らざるを得なかったのかという疑問を払拭できないものがあります。
 落選議員であるという弱点を自覚するのなら、法相を辞職するのが筋であり、死刑の執行への立会いや刑場の公開によって死刑の問題性を喚起することは、死刑の執行命令を下すこととは別の次元のことで、これをセットして評価することにも疑問があります。
 また、法務省内に死刑問題の勉強会を作るという案にも、安易に賛成するわけにはいきません。それは、わが国の法務省がこれまで死刑問題に対してとってきた頑なな態度を改めさせるという見通しも保障もうかがえないからです。外部の有識者からも幅広い意見を聞くといわれていますが、法務省当局が人選し主催する検討会では、最初から決定的な限界があります。かえってそれは、死刑の廃止を求める国際世論に対する法務省からの言い訳に利用されるおそれさえあると思われます。
 大事なのは、死刑廃止の方向に一歩でも前進させようとする法務大臣の強い決断にあり、それを生かすためには、法務省内の勉強会ではなく、むしろ法務省がオブザーバーとなるような形での独立の検討委員会を設けるべきでしょう。イギリスの王立委員会やアメリカの大統領委員会のようなものが参考になると思います。
by nakayama_kenichi | 2010-07-31 20:20