千葉法相の死刑執行命令
2010年 07月 31日
落選議員であるという弱点を自覚するのなら、法相を辞職するのが筋であり、死刑の執行への立会いや刑場の公開によって死刑の問題性を喚起することは、死刑の執行命令を下すこととは別の次元のことで、これをセットして評価することにも疑問があります。
また、法務省内に死刑問題の勉強会を作るという案にも、安易に賛成するわけにはいきません。それは、わが国の法務省がこれまで死刑問題に対してとってきた頑なな態度を改めさせるという見通しも保障もうかがえないからです。外部の有識者からも幅広い意見を聞くといわれていますが、法務省当局が人選し主催する検討会では、最初から決定的な限界があります。かえってそれは、死刑の廃止を求める国際世論に対する法務省からの言い訳に利用されるおそれさえあると思われます。
大事なのは、死刑廃止の方向に一歩でも前進させようとする法務大臣の強い決断にあり、それを生かすためには、法務省内の勉強会ではなく、むしろ法務省がオブザーバーとなるような形での独立の検討委員会を設けるべきでしょう。イギリスの王立委員会やアメリカの大統領委員会のようなものが参考になると思います。

