議事録の顕名に関する情報
2005年 04月 14日
第1は、法制審の議事録には発言者だけでなく、会議の席上配布された資料(これはかなり多い)も一般に公開されず、利用も引用もできない。
第2は、これと比較すると、金融庁の金融審議会の議事内容については、議事要録とともに、議事録が公表されており、発言者の氏名も完全に顕名化されている。
第3は、かつての司法省が設置した法律取調委員会の議事速記録には、発言者の実名が記載されていたという事実がある(「日本近代立法資料叢書」)。
以上のうち、第1は、たしかに部外者が議事録を見ただけでは、配布資料の内容を全く知ることができませんので、資料を前提とした審議会の論議の内容を正確にフォローすることはできないということになります。法務省当局も秘匿する意図はなく、要望があれば提供するというでしょうが、それで公開になるとは思われません。第2は、金融庁など他の省庁とは事情が違うというのでしょうが、金融犯罪の情報など微妙な部分もあるでしょう。第3は、戦前の司法省時代の情報ですので、現在のような法制審議会の「匿名」制度がいつから何ゆえに導入されたのかという歴史的な検討を行う必要性を強く示唆するものといえるでしょう。
以上の点を新しい課題として解明して行きたいと思います。

