高齢者マンションの孤独死
2010年 07月 11日
急いで、救急車を呼び、ご親族に連絡してお部屋まで来て頂いて、鍵を開けたら、そのご婦人はお風呂場で倒れておられ、もう手の打ちようがなかったとのことです。救急隊に代わって、警察官が現れ、事後処置が始まりましたが、辺りの入居者は、ただ呆然と立ちつくすのみという虚脱感におそわれました。
このご婦人は88歳でも、まだお元気で、前夜の夕食後は、午後7時から9時まで2階で行われた「名画鑑賞会」に出席された後、談笑しながら15階まで上がり、お部屋に入られたとのことで、異変はその後、おそらく入浴時に発生したものと思われます。
身柄の安全と不時の場合に備えて、各室には、「警告ベル」がいくつか設置されており、浴室にももちろん配備されています。このボタンを押せば、防災センターにつながって、救急車の手配などの緊急の救助体制が作動することになっているのですが、残念ながら「警告ベル」が押せない状態のまま事態が悪化し、最悪の結果になったわけです。
このご婦人は、典型的な京都女性の代表格ともいうべき京美人で、戦前・戦後の京都の伝統的な学術文化や下町風俗などに詳しいだけでなく、凛とした風格も衰えるとことなく、若かりし日の才色兼備なお姿を想像するに難くないという貴重な存在であっただけに、思いがけない突然の死は惜しみても余りある悲しい出来事でした。
それにしても、高齢者用マンションにおけるこのような1人ものの悲しい孤独死を繰り返さないために、有効な防止策はないものか、再検討しなければなりません。ただし、個人的な「影」の声としては、自分もそのような形で死にたいと思ったりもしますが・・・・。

