保護観察官の定員
2010年 07月 08日
保護観察の実務は、通常、専門の「保護観察官」と、民間の篤志家である「保護司」の協力体制によって行われています。「保護観察官」は、心理学、教育学、社会学等の更正保護の専門知識を持つ国家公務員ですが、かつてから定員の絶対的な不足が叫ばれており、実際には保護司まかせになるという実情が指摘されてきています。
そこで、『刑法入門』第3版の改訂作業の機会に、その「定員」を調べてみたのですが、「保護司」の定員は52,500人以内とすぐ分かりましたのに、肝心の「保護観察官」の定員が公式文書を調べても分からず、困りました。第2版(2000年)当時、「718人で、1人当たり約92件」と記述していたのですが、今回大津保護観察所に依頼して本省に聞いてもらい、ようやく2009年現在、管理職を除く定員が881人であることが分かりました。しかし、1人当たりの件数も、歴年の変動も分からないままで、さらに聞いてもらっている有様です。
最近の裁判員法の下で、執行猶予者に「保護観察」が付く事例が多くなりつつあることを考えますと、「保護観察官」の抜本的な定員増しの必要性を痛感します。なお、「保護司」の方も高齢化が進み、定員割れが続いていることにも、積極的な手当てが必要です。
それにしても、「保護観察官」の定員さえすぐに分からないという現状と、全国でわずか数百人程度という絶対数の少なさには、改めて考えさせられました。

