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最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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今は亡き友を偲ぶ会

 私どもの関西の刑法研究者の仲間が、最近2人続いて亡くなりましたので、私が提案して、かつてからの親しい友人による「偲ぶ会」が企画され、7月3日(土)の夕方に開催されました。当日の午後は、昭和30年代のはじめから続いていました月例研究会の「刑法読書会」が500回を数える記念の日に当たり、そのメンバーであったお二人を追憶するのに相応しい日でした。
  「偲ぶ会」には、森井暲(前関西大学教授)さん、上田健二(前同志社大学教授)さんのご遺族のほか、20人を越える親しい友人が、梅雨期の悪天候の中にもかかわらず参加して、故人の冥福を祈るとともに、昔の思い出話をして、ご遺族を慰め、ともに今は亡き共通の友を偲び合うという一体感に包まれました。
  お二人には10歳くらいの年代の差がありましたので、参加者にもそれに相応する年齢差があり、前半は古い世代が、後半は比較的新しい世代の方々が、それぞれ二人の先生との関係を含む話題を披露されましたが、今まで聞いたこともなかった貴重な体験や「エピソード」も含まれていて、故人との人間関係が織り成す出会いや共同体験など、偶然とも思えるような「関わり」がそれぞれの人々に重なり合って存在していることに、改めて驚かされました。
  とくに印象に残りましたのは、森井さんについては、芸人を思わせるような洒脱なユーモアの持ち主であり、学生間の人気投票では常に上位にランクされ、ゼミの志願者も多かったという人間的な魅力ある教授であったこと、一方、上田さんについては、その法哲学の難解な議論のなかに、「人間の尊厳」と「寛容」の精神を求め、これを社会生活でも家庭生活でも徹底して実践し、死ぬまでこれを貫徹されたという悲壮感が伝わってきたことです。
 改めて、研究者の間における「友情」の大切さと、相互間の影響力の大きさを確信し、心に秘めながら別れを惜しみました。
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                2010年7月3日の「偲ぶ会」
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by nakayama_kenichi | 2010-07-05 17:35