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最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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取調べ規則違反

 足利事件や志布志事件などの冤罪事件が相次いだため、警察の取調べ過程の全面的な「可視化」(録音・録画)や弁護人の立会いなどの改革案が現実味を帯びてきていますが、そのような状況下にあって、警察庁が先手を打つ形で、警察庁内部での取調べ監督制度を実施し、その結果を公表していることが分かりました(5月20日朝日夕刊)。
 その記事によりますと、警察庁は、捜査担当者以外の警察官が、外から透視鏡などで取調べ室内の様子を点検する監督制度を2008年9月から試験的に開始し、2009年度から全国の警察署に広げて実施したが、その際、容疑者の体に接触、壁をたたく、タバコやジュースなどの便宜供与など、7項目を監督対象の禁止行為として指定したとのことです。
そして、2009年度は、任意の事情聴取を含むほとんどすべての事件の取調べ約175万件を監督対象とし、事件1件あたり平均1..3回、のべ約220万回、取調べを点検したところ、容疑者を平手打ちした暴力が2件、壁をたたいた行為が1件、飲食物などの便宜供与が21件、事前承認を受けない時間外の取調べが2件などの禁止行為が、計29件あったと報告されています。
  たしかに、そのような点検が行われ、その結果が公表されたことは、一歩前進のように見えますが、そこには基本的な観点が欠落しています。決定的なのは、「内部的」監督の限界であり、その客観性を担保するものは全くありません。また実際にも、内部監視のもとですら禁止行為が行われているというのも理解し難いところです。
  これまでの「再審・冤罪事件」に共通する最大の原因は、「密室(代用監獄)における取調べ」そのものの「秘密性」にあり、それが自白を得るための取調べとして、上記のような禁止行為を生む長年蓄積された土壌となっているのです。この取調べ過程を全面公開し、その証拠を全部開示すれば、警察・検察のみならず被告人の対応もすべて裁判官や裁判員の前で明らかとなり、冤罪が防げるという目的に沿うことになるでしょう。
by nakayama_kenichi | 2010-05-26 09:45